気づけば不動産業界の人

成り行きで不動産を仕事にして早20年。賃貸管理、収益物件の売買仲介、自分の物件で民泊運営など、気が小さいのにいろいろ経験しています。

【マンション選びのコツ】このマンション、買っていいですか?

不動産業と賃貸経営をしているので、マンションについて聞かれることがある。

「そろそろマンションを買おうと思うんだけど、なんかアドバイスない?」と。

ファミリー、単身(40代独身や離婚してシングルに戻った人が多い)、状況も希望物件も様々。大体は気になっている物件がすでにあり、マイソクを見せてくれる。

住む家は(投資用ではないので)、その人の経済力や価値観によって決めればよく、特に私が何か言うことはないと思っている。

でも、それではあんまり不人情なので、不動産投資家+不動産屋の立場として、いくつか話すことがある。もちろん、「私ならば」という前提付きで。

 

1)新築を避ける

新築マンションのきらびやかさは魅力的。

ピカピカの外観や最新の設備、素敵なプロモーションビデオ、とどめはショールーム

この状況で営業マンからたくみに誘導されると、頭金が少々足りないことも月々のローンもなんとかなるような気がしてくるらしい。

ただ、こうした広告宣伝費が上乗せされていることを自覚し、雰囲気にのまれないよう冷静になることをつよくおすすめしている。

営業マンの「今日中に契約すれば~」とか「残り1室」も信じてはいけない。

新築で購入して、購入時より高く売却できるのは立地がよくてブランドのある物件のみ。

それから、住宅ローンは低金利だが、金利上昇リスクについても意識しておきたい。

 

2)賃料相場を調べる

賃貸に出したらいくら賃料がとれそうか調べること。

一生住むつもりで購入しても、その後、貸しに出す状況はいくつか考えられる。ファミリーの場合は転勤、シングルの場合は結婚など。

他にも親の介護や同居のため分譲マンションから転居した人を知っている。

なので、賃料の相場を調べ、ローンとの差を意識しておくことが大事。

そして、近隣相場のマンションの利回りを調べ、売却したときの価格をざっくり意識しておく。

 

3)立地を重視する

駅から徒歩20分でも(自分は)OKという人がいる。

通勤がいい運動になるし、住環境がよいからという理由。

しかし、売却の時、売りやすく値が下がりにくいのは、立地のよいところ。

多くの人が欲しがる物件の方がベターと考え、私なら、郊外で駅から遠い広い物件より、都心に近い駅から10分以内の狭めの物件の方を買う、ということになる。

マンションを買うなら60㎡にしなさい」はタイトルはキャッチ―だが、まじめな本。

「資産価値が落ちないマンション」探しをテーマに60㎡の根拠を紹介、マンション選びの参考になると思う。

 

私自身は賃貸に住み、自分の法人の事務所・社宅として賃料を経費としている。

区分を購入する場合、すべて仕入れとしてだが、最悪、自分で住んでもいいかなという目線は常にもっている。

正直、理想の我が家のイメージがあまりなく、引越し大好きなので、しばらくはマイホームを買うことはないかな。

【ふるさと納税で家を建てる】空き家問題とクラウドファンディング

ふるさとチョイスには、ガバメント・クラウドファンディングというジャンルがあり、ふるさと納税自治体のクラウドファンディングに寄付することができる。

山梨県丹波山村には、空き家はあるが、人が住める家が足りないそうで、このクラファンで家を建てる資金を募っている。

丹波山村の人口は、なんと530人(令和5年5月1日現在)。

530人って大きな企業の社員数とか、中高の学生数とか、それくらいの規模感。

関東で最も人口が少ない村らしいが、ここ数年、移住を希望する人からの問い合わせが増えているそうな。

 

空き家は、不動産業界だけでなく、今や一般的な社会問題。

親が住んでいた地方の戸建てを相続したが、子供たちは東京にいて、地方の家を売りたいという相談を受けたことがある(山林を相続した人もいた)。

高齢化にともない、特に地方の空き家問題は自治体のレベルで解決できるものではなく、国をあげての対応が必要だと思う。

相続登記が義務化された背景もここにある。

丹波山村でも、村の家屋の3分の1は空き家で、「月日が経つ間に所有権が多くの人に枝分かれしてしまい、相続の手続が煩雑になってしまっているケースも多く」とある。

そして、「空き家」=「住める家」とは限らない。

人が住まないと家は傷む。空き家期間が長ければ長いほど、家は傷み、直すコストが大きくなる。

建物は大切な社会インフラ。

住みたい人が住めるよう、空き家期間をできるだけ短くし建物が傷まないような仕組みができるといい。

 

***

本題とは関係ないけれど。

友達から家庭菜園でとれたミョウガをもらった。

そうめんの薬味にしようと冷蔵庫から出して洗い、まな板の上に置いて数秒、小さい真っ黒な蟻が白いまな板の上を右往左往しているのを発見。

小さい蟻が10匹ほどうろうろうろうろ。

蟻たちを流してミョウガをまた洗い刻んだ。

虫は洗い流し、傷んでいるところがあれば除いて食べればいいのだが、スーパーやネット通販でこういうことが起きたら、お金を払っている以上、クレームになっちゃうんだろうなと思った。

【ヴィンテージと築古は紙一重】ヴィンテージマンションは好きですか?

知合いが都内にヴィンテージマンション(分譲区分)を持っている。

築50年以上という、東京にマンションが建ち始めた頃の物件で、その立地もあり、新築当時は、野球選手・女優・政治家が住んでいたそうだ。

時は流れ2010年に知合いが購入したとき、往年の高級マンションは、「ヴィンテージ・マンション」という立ち位置になっていた。

高級からヴィンテージなので、建物は歴史を重ね、分譲で住み続けている人々は高齢化(一部は超高齢化)、分譲賃貸には、こういう味を好む人々が住んでいるという状態。

 

先日、物件を見に行ったところ、パッと見の外観はこぎれいで、なんともいえないどっしり・ゆったりとした重厚感がある。

マンションの銘板の文字は、レトロなカタカナ。

外観に使われている素材(今は廃番のタイル)、エントランスのやけにゆったりしたサイズ感、やたらと広い廊下の幅のおかげで、効率重視の今どきのマンションにはない余裕が感じられる。

こういうところがヴィンテージなのか。

 

設備に関しては、オートロック、宅配ボックス、フリーwifi、24時間ゴミ置場、など今どきのものはなし。

その代わり、玄関ドアに牛乳配達や新聞配達を受ける口?がある。

窓(サッシ)が小さく、天井高もやや低い。排水に難があるようで、高圧洗浄をかけても管自体が細いのか、風呂の排水がゆっくり(遅い)という。

これらは建物由来だが、管理面も独特で、賃貸で入居した人も管理組合の理事長に挨拶に行かなければならないとか、集合ポストに貼る名前ラベルを作成するのは管理組合とか、いくつかルールがあるそうだ。

 

そんな物件だが、知合いは、この部屋を結構な賃料(相場より高い)で出して、あっさり申し込みが入ったと告げ、「申し込みが4番手までいた」「もっと高く出してもよかった」とぶつぶつつぶやいていた。

どんな人がこういう物件に興味をもつのだろう。

立地はまずまずだが、ちょっと不便でちょっと高い物件をあえて選ぶ理由とは?

一番多いのは、デザイン関係の人(今回成約した人はプロダクトデザイナー)、次は在宅勤務の人(IT系や自営)、外国人/駐在員(米国かヨーロッパ)とのこと。

 

物件を一緒に見に行ったアシスタント氏は、「宅配ボックスない物件無理」「理事長に氏名とか個人情報渡すの絶対嫌」と言っていた。

彼にとっては、ただの築古マンション。

ヴィンテージと築古、結局はその人の価値観によるのだが、不動産に係わる身としては、できるだけ古さを活かして多くの人が住みたいと思う物件にしていきたいと思う。

 

【火災保険は水災に注意!】保険料が上がる物件とは?

毎年毎年、火災保険の保険料が上がっている。

地震保険なんて衝撃の上昇率。

2023年6月、損害保険料率算出機構が、保険料を決める「参考純率」を全国平均で13%引き上げると発表した。

ニュースでチラッと見て、所有物件や売買で扱っているエリアが気になった。

この改定のポイントは2点。

1)住宅総合保険の参考純率について、全国平均で13.0%引き上げ
2)水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化


1)住宅総合保険の参考純率について、全国平均で13.0%引き上げ
この「13.0%引上げ」は、全ての契約条件(都道府県、構造、築年数、補償内容等)の改定率を平均して算出した数値なので、一律にというわけではない。

損害保険料率算出機構の資料にある例を見てみると、こんな感じ。

【東京の築10年以上のマンション】
・地域:東京
・M構造(マンション構造)
・保険金額:建物2,000万円 家財1,000万円、築10年以上の例
※水準のみの改定:+10.4%

 

2)水災に関する料率を地域のリスクに応じて5区分に細分化
水災に関して、リスクに応じて5段階に区分、1等地が水災リスクが一番低く、5等地が水災リスクが一番高いという分け方をし、この等級別に保険料が上下することになる。

水災リスクが高い物件は、保険料が今までより20%近く上がるので、10年前に契約した火災保険の保険料とはまったく違ってくる。

【水災地別の改定率】
1等地:+4.3%
2等地:+7.7%
3等地:+11.5%
4等地:+15.8%
5等地:+20.2%

 

具体的に保険料がいくらになるか(いくらアップするか)は、代理店にきかないとわからない。

はっきりしているのは、物件を購入する時、水災リスクを意識し、火災保険のコストに注意!!ということ。

購入検討時にハザードマップの確認まではしているが、火災保険の見積もりまではとっていなかったので、気を付けようと思った。

【仲介が嫌うお客さん】物件紹介したくないタイプ3選

私は収益物件の売買仲介もしている。

扱う物件は2~5億の1棟ものが多い。

自分もオーナーとして賃貸経営をしているので、お客さんの立場・気持ちはすごくよくわかるつもり。

会社の方針として、ひとりのお客さんに10億くらい買ってもらいたいので、深く長いつきあいを心掛けている。

こういうスタンスなので、お客さんとの相性は結構重要。

お金があっても「この人には売りたくないなー」というケースは間々あり、たいていは3パターンに分かれる。

 

(1)横柄でわがまま

「手数料払うんだから、自分の言うことを聞け」とばかりに無茶を言うタイプ。

ビジネスなので条件交渉は当然だし、こちらもがんばるのだが、そういうリクエストではなく、気に入らないことが起きると、人格否定したり暴言をはいたり…。

自分のやり方を押し通そうとする人は、いくらお客さんでも限度がある。

いくらお金があっても、こういう人とは取引しないようにしている。

 

(2)自己開示しない

業者には必要最低限しか情報を開示しないと心に決めているタイプ。

買付をもらったので、顧客のプロフィールシートの提出をお願いすると、ほぼ白紙。

家族構成、資産情報、所有物件をひたすら隠す。

銀行融資がなければ、それでもいいけれど、こちらで融資をアレンジするときは手間がかかる。

元付の物件だと、売主にどんな人から買付が入ったか説明するので、もう少し心を開いてほしいタイプ。

 

(3)嘘つき

一見人当たりがよいけれど、言っていることの辻褄が合わない人。

当初申告のあった金融資産が実際はかなり少なかったり、他の物件にこっそり買付を入れてたり、何かと後から不都合が露見するタイプ。

 

以前は売上のためと思って嫌なお客さんを我慢していたが、ストレスで体調をくずしそうになり、なんだかバカバカしくなった。

今は入口のところでお客さんを選ぶようにし、嫌ではない人とだけ取引するようにしている。

社長からは時々、「もっと売れ」と言われるけれど、スルー。それなりの売上はあるので、少々の小言で済んでいる。

あと自分の物件(賃料収入)があるのも大きい。気持ちの余裕が違う。

そういう点でも不動産を買う会社員の人の気持ちがよくわかる。

【Airbnbの入金がない!】Airbnbの送金トラブル#1

Airbnbの売上については、管理会社ではなく、ペイオニア(Payoneer)を経由して、直接、自分の口座に振り込まれるようにしている。

管理会社はAirbnbからの送金情報をもとに管理料を計算し、その個々の送金金額を明細として毎月のレポートに添付している。

で、私は個々の送金金額と銀行の入金履歴を突き合わせして、間違いがないか確認している。

先月、Airbnbから送金されているが、銀行に入金のない履歴が2件あった。

合計で30万ほど。

宿泊から3週間経過しており、タイムラグとは思えない。

管理会社に問合せると、どうやらAirbnbからは送金しているらしい。

イオニアの問題か???

同様のケースがあったか管理会社に聞いたところ、今までない(私が初)という。

ネットで調べてみたが、これといった情報は見つからず、今のところ原因不明。

しかし、このまま放っておくわけにはいかないので、消えた売上げを取り戻すため、何かしなくてはならない。

管理会社からAirbに問合せをかけているが、Airbnbから送金しているそうなので、実のある回答が得られるかは疑問。

困った。。。

原因がわからないと、今後も起きたらという不安がつきまとう。

ただいま調査中なので、原因がわかったら、ブログにも書きたい。

【不動産屋になる?】宅建業開業のメリット・デメリット

不動産会社のできる営業はたいてい独立する。20代で自分の不動産会社を立ち上げる人も少なくない。

最近では、投資家(大家さん)も仲介手数料削減とネットワークを活かすため、宅建業をとる人がいる。

宅建業にはメリットがあるのはたしか。

開業資金は必要だが、極力おさえて小さく始めることも可能なので、宅建士の資格さえあれば、自分だけで開業することもできる。

不動産屋になるメリット・デメリットは以下のような感じ。

 

【メリット】

 ・賃貸、売買で仲介手数料をいただくことができる

 ・レインズ(業者DB)を使える

 ・銀行のプロジェクト融資を受けることができる

 ・短期で転売してもOK(個人だと業とみなされる場合あり)

 

【デメリット】

 ・開業資金が必要(全日の場合、開業費が約115万円、年会費が約7.5万円)

 ・宅建士をおかないといけない

 ・専用の事務所が必要(全日の場合、後日、事務所で面談あり)

 ・宅建業法の適用をうける

 ・自ら売主の場合、契約不適合責任免責ができない

 

知り合いの飲食店経営者は、個人の複数ある不動産を管理するための法人を作り、その法人で宅建業をとった。

飲食店経営者の物件を売る時、売主の仲介手数料は実質なし。

所有物件の売り上げが順調なので、管理会社の手数料を節税目的で高めに設定するなど、うまく調整しているらしい。

 

費用や責任を考え、あえて宅建業を取らず「アドバイザー」として活動している人もいる。物件をお客さんに紹介し、成約したら不動業者から手数料の分け前をもらうという方法だ。

ただ、名刺に「アドバイザー」とか「コンサルタント」と書いてあるより、「〇〇不動産+宅建業の免許番号」が書いてある方が社会的信用は高いと思う。

まぁ、不動産は一種のネットワークビジネスで、信用が価値なので、新規のお客さん以外で名称を気にする人はいないのかもしれないけれど。